SONYの新型ゲーミングヘッドセットINZONE H9が不当にネガキャンされそうなので全力で擁護する
7月8日に発売したSONYの新型ゲーミングヘッドセットとモニターですが、値段がヘッドセットが36300円、モニターが154000円とかなり高額な商品となっています。
今回私はヘッドセットのINZONE H9(以下H9)を購入し、1週間使用してかなり満足しております。
そんな中、先日某有名Youtuberがこのヘッドセットを買うのはやめとけという内容の動画を投稿し、話題になっています。TwitterやYoutubeのコメント欄でも、SONYはブランドにあぐらをかいたボッタクリだという意見が散見しています。
おそらくワイヤレスのゲーミングヘッドセットは未だにニッチなジャンルであり、商品としての価値が理解されていないものだと思いますので、実はH9ボッタクリではないことを説明しながら、某Youtuberの批判されたポイントを擁護してH9の価値について説明していきます。
・INZONE H9の製品スペック
H9のおおまかなスペックは以下です。
ドライバーサイズ | 40mm |
---|---|
接続方式 | 2.4GHz無線(USBドングル) Bluetooth |
ノイズキャンセリング | 有り |
マイク | 両指向性 |
バッテリー | 30時間(ノイズキャンセリングOFF) |
重量 | 330g |
この他にもPS5接続時に連携できるPerfect for PS5という機能がついています。
接続方式の2.4GHzの無線接続はUSBのドングルをPCやPS5などのUSBポートに挿すことで、デバイス側にヘッドセットとして認識され、電源を入れるとそのまま使えるというものです。Bluetoothなどに比べて遅延が少なく接続が安定しており、ゲーム向けのワイヤレスヘッドセットの主流の接続方式となっています。
またBluetoothによる接続も可能です。対応コーデックはSBCとAACであり、高ビットレートなLDACやaptX HDなどには対応していません。何故なら、このヘッドセットのBluetoothの使用用途が音楽などではなくボイスチャットであるからです。
このヘッドセットはデュアルワイヤレスという接続方法で、2.4GHzの無線でPCやPS5の音を聞きながら、Bluetoothでスマホやタブレットと接続してDiscordやLINEなどでボイスチャットをすることができます。
また、ノイズキャンセリングはハイエンドな無線ヘッドホンである1000XM5やAirPods Maxほどでないにせよ、エアコンやPCファンの音は十分消してくれます。
・競合製品との比較
価格が見合っているのかを確認するために、このゲーミングヘッドセットの重要な機能が上記で説明したデュアルワイヤレスとノイズキャンセリングの2つであるとして、同様の機能を有した他社のヘッドセットと比較していきます。
EPOS H3PRO Hybrid
ドイツの超有名な音響機器メーカー、ゼンハイザーのゲーミングブランドによる昨年発売したハイエンド無線ヘッドセットです。(以下H3PRO)
Corsair (コルセア) Virtuoso RGB WIRELESS XT
ゲーム周辺機器を発売しているコルセアによるハイエンドヘッドセットです。(以下Virtuoso)
steelseries Arctis Nova Pro Wireless
ゲーム周辺機器を発売しているsteelseriesによるハイエンドヘッドセットです。日本では未発売です(要輸入)。(以下Arctis)
それぞれのスペックを比較していきます。
H9 | H3PRO | Virtuoso | Arctis | |
---|---|---|---|---|
ドライバーサイズ | 40mm | 40mm | 50mm | 40mm |
接続方式 | 2.4GHz無線 Bluetooth | 同左 | 同左 | 同左 |
ノイズキャンセリング | 有り | 有り | 無し | 有り |
マイク | 両指向性 | 両指向性 | 無指向性 | 両指向性 |
バッテリー | 30時間 | 30時間時間 | 15時間 | 36時間 |
重量 | 330g | 308g | 382g | 338g |
価格 | 36300円 | 37400円 | 36980円 | 380ドル |
ボッタクリかどうかを判断するために価格を見ていきます。価格を見てわかる通り、デュアルワイヤレスかつノイズキャンセリング機能を持ったゲーミングヘッドセットは各々36000円以上しています。Virtuosoに関してはノイズキャンセリングは搭載していませんが、この価格帯です。またArctisについては、ドルでの価格がH9よりも80ドルほど高いです。輸入が必要ということもありメルカリではだいたい5万円ほどで取引されています。
RazerのBarracuda Proという37400円のハイエンドヘッドセットもノイズキャンセリング機能を搭載し、2.4GHz無線とBluetoothを機能を有していましたが、上記の4つのように2つの音声を同時に流すことはできなかったため、この表には含んでおりません。
H9はバッテリーも十分長く、そこまで重いわけでもなく、価格もこの中では最も安いという非常にバランスがいいスペックになっていることがわかります。
この時点でこのジャンルの中でH9はボッタクリ価格ではないことがわかります。特にSONYのように大きなメーカーが出した割にはブランド代として料金が増しているわけでもなく、超円安が状態の中、出したヘッドセットのわりには安いと言っていいかもしれません。
・某Youtuberの批判ポイントについて擁護
動画の中で某Youtuberに批判された主なポイントは以下です。
・デザインがおもちゃみたい
・マイクの上げ下げによるカチ音が不快
・映画の立体音響は微妙
・USBドングルを挿しているとヘッドセットの電源を切っても音声出力先にH9がいる
・とにかくマイクがゴミ
それではそれぞれのポイントを擁護していきます。
デザインがおもちゃみたい
これに関しては、実際プラスチッキーで大きさの割に軽いため高級感はありません。
PS5に合わせたデザインであり個人の好みによる部分がありますが、オタクブラックなヘッドセットが多い中、白いヘッドセットは悪くはないと思います。
PS5だけでなく白色のNintendo Switch有機ELモデルの色とも相性がよく自分は気に入っています。
マイクの上げ下げによるカチ音が不快
ブーンマイクのフリップアップミュート(上に上げたときにミュートになる機能)のON/OFFのフィードバックとしてカチカチと鳴る仕様です。
どういった場面を想定して批判していたのかわかりませんが、不快になるほどミュートのON/OFFはしないと思います。
USBドングルを挿しているとヘッドセットの電源を切っても音声出力先にH9がいる
これについてはUSBドングルタイプの無線接続機器の仕様です。
ヘッドセットに限らずマウスやキーボードも電源を切ってもWindowsのデバイスマネージャには認識され続けます。
INZONE Hubにヘッドセットが取り外されたら予め設定した音声出力先に切り替えるような機能が追加されることを待つしかないでしょう。
とにかくマイクがゴミ
たしかにマイクは品質が高くありません。手元にあったAirPods MaxやAirPods Proと比較してもカサカサした音になっています。
しかし某Youtuberはヘッドセットのマイクを使って配信がしたかったと発言しています。
ゲーミングヘッドセットのマイクはボイスチャットを想定して設計されており、マイク性能を謳った製品であっても配信に耐えうる音質であることありません。
代わりに1000XM5を買いたいとも発言していますが、残念ながらマイク性能にこだわった1000XM5であっても配信に使えるほどの音質ではないです。
結局配信者は別の高品質なマイクを用意するため、メーカーはこのマイク部分に力を入れることは無駄だと判断しています。
これがゲーミングヘッドセットには高品質なマイクが乗っていない理由です。
某Youtuberはこういった背景を知らなかったため、少しずれた批判をしてしまったのでしょう。
なお某Youtuberはこのヘッドセットを批判する動画の音声をH9のマイクで収録しています。この動画の内容が視聴者に伝わったという事実自体がマイク性能がボイスチャットするには十分であることを証明しているのではないでしょうか。
・動画で伝えられてなかった良い部分
動画では注目されていなかった良い部分がこのヘッドセットにはあります。
それぞれ説明していきます。
ワイヤレス
基本的な部分ですが、やはり線が接続されていないことは非常にストレスフリーです。
ボイスチャットを聞きながら、BGMとしてYoutubeを流しながら、トイレ行ったり、飲み物を取りに行ったり、料理をしたり、食器洗ったり、洗濯をしたり・・・何でもできます。
デュアルワイヤレス
上記でも説明している通りPCやPS5の音を聞きながら、DiscordやLINEでボイスチャットできます。実はNintendo Switchの音をUSBドングル経由で聞くことができるため本体にボイスチャット機能が乗っていないSwitchでもゲームの音を聞きながら友人と通話ができます。
また、ゲームをしながらスマホやタブレットで映画やYoutubeを見たり、音楽を聞いたりすることもできます。自分にあった使用用途で使えます。
Bluetoothの接続の仕様
これまでデュアルワイヤレス機能の付いたワイヤレスヘッドセットは
・steelseries Arctis 9
・Turtle beach stealth 700p gen 2
・JBL Quantum 800
と使ってきました。いずれもBluetoothのマルチペアリングに対応しており、自分の環境ではiPhoneとiPadにペアリングしてました。
ゲームをしながら気軽にチャットしたいときはiPhoneで、動画をながら見するときはiPadという使い分けをしてきましたが、上記の3つのヘッドセットは接続先を切り替える場合は、すでに接続されているデバイスとの接続を一旦切らないと切り替えられませんでした。
H9はペアリング済みのデバイスであれば、すでに接続している状態でも別の接続したい機器側から接続要求すれば接続先を切り替えてくれます。
この機能はスペック表に現れない機能なので、実際に買ってからこの機能が使えたときは非常に感動しました。
同価格帯のヘッドセットがどのような仕様になっているかはわかりませんが、これまでBluetoothのヘッドホンを作ってきたSONYだからこそこういった仕様にしてくれたのだと考えています。
2.4GHz接続性
自分の環境が特殊だとは思いますが、USBドングルの接続先をUSB切替器によって切り替えています。
この切替によってこれまで使ってきたsteelseries Arctis 9とTurtle beach stealth 700p gen 2はUSB切替器によってPCやSwitch、PS5に切り替えた際に音が出なくなることがよくありました。さらにTurtle beach stealth 700p gen 2はSwitchに対応していましたが、Switchをスリープさせてから再度電源を入れるとUSBドングルを抜き差しする必要があり非常にストレスフルでした。
JBL Quantum 800は安定して切り替えることはできましたが、Switchには対応しておらず一応ついているノイズキャンセリングがほとんど機能していないレベルで、比較したときに圧倒的にH9に軍配が上がります。
H9はこの1週間USB切替器を使う特殊な環境でも安定して切り替えることができています。
接続性が悪いとやはりストレスなので、そこにまったくストレスがないことは非常に高評価です。
・まとめ
オススメできる人
デュアルワイヤレスとノイズキャンセリングの機能が使いたい人
オススメできない人
デュアルワイヤレスに価値を見いだせない人
さいごに
某Youtuberは配信という一点に評価の軸を置きすぎた結果、「やめとけ」という評価になっていますが、いくつかゲーミングヘッドセットを使ってきた自分から見てもH9は十分な性能やポテンシャルを持っています。
ひとりの過剰な批判を真に受けてネガキャンするのはメーカーを疲弊させることに繋がります。様々な情報を持ってから本当に批判するべきなのかを考えましょう。